はにbro

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HT81Sというマイナー車について


ご無沙汰しております、haniです。今回はHT81Sの記事です。

FC3SMR-S→DC2→R32GTR→E46(MT)→HT81S&NA6CE という愛車遍歴で、様々なジャンルでモータースポーツをしてきた私ですがこんな流れでも絶賛81にドハマり中です。面白さはずば抜けてる車だと感じています

知る人ぞ知る初代スイフトスポーツ、HT81S。

スイフトスポーツというコンパクトカーがZC31S、ZC32S、ZC33Sと進化を遂げる前に5000台ほど生産されたなんとも地味な車です。
さらに歴史に消されたりなんだり…わりと不遇な扱いが目立ちます。

……が!

ZC系では味わうことのできない独特の魅力があるのも事実。
単に今の愛車だからとかではなく、忖度なしで面白いんです。

気になっている方も少なからずいらっしゃるかと(いてくれ(笑))思いますが、華やかなスポットを浴びなかった車のため情報が非常に少ないんですよね。

というわけで今回はそんなあまり多く語られないHT81Sに2年ほど乗って感じた魅力、楽しさを過大評価や贔屓目なしに書き綴ろうとおもいます。

HT81Sスイフトスポーツは当時スズキがJWRCという4輪競技に参戦するためにひっそりと開発され販売されました。当時特別なCMや世間での話題性もなかったため半分プロトタイプのような位置づけだったのでしょうね。
ベースのHT51というスイフトに関してはその価格故に結構売れたそうです。

肝心のJWRCでの戦績はwikiで見ていただければわかりますがなかなかの好成績。ただ、当時の選手のインタビューによると数あるラリーカーの中でもかなりピーキーな性格のマシンだったようで、安定した結果にはなっていませんが、一発の速さとそのイエローカラーを模して「Yellow bullet」と呼ばれていたようですね。

そんなラリーカーのDNAを濃く反映させたのがHT81Sスイフトスポーツです。

Keiでしょ、所詮ワイド版でしょ?

そんな揶揄はたくさん耳にします。正味合ってます(笑)
もちろん間違いではないんですけど中身を一緒くたにするにはいささか早計ではないかと。

あのセリフを借りると



というところでして。

百聞は一見にしかず。乗る機会があったら是非乗ってみてくださいね。

さて、では紹介していこうと思います。

【車重930kgの軽量ボディ】



言わずもがな非常に軽量です。車両重量930Kgという軽量ボディは海外仕様である専用3ドアのもの。
ちなみに軽量化すれば800kg台は確実。詰めると7○○kgまでいけるみたいです。ヤバいですね。

このボディに関して言わせていただくとまあボディ剛性は…僕の過去車であるDC2よりは低いです。あれもわりとペラいですけど。
とにかくノーマルで遊べるボディではありません。

フロア下部に補強が施されているとはいえ、今の車とは比較にならないですし、現代のグリップタイヤと合わせると話になりませんし。

なんとも説明し難いので数値で剛性感を表現する(?)と

HT81S=45

ZC31S=60

ZC32S=75

ZC33S=90

このような感じでしょうか。

ちなみにこれは私が全車乗り比べして感じた結果です。

ルノーマルのHT81Sでは車体の捩れが多く、アンダー方面の動きをする他、雨の日のシグナルダッシュでよく空転していました。普通に発進してるのに。。。
要はトラクションが抜けやすいのですね。仕上げるにあたってはここを抑えないとだめでしょう。

エンジンとの組み合わせと路面状況、他にも要因はあると思いますが正直90年代の箱車レベルだなと感じました。剛性はソコソコはあるもののしなやかさに欠け、変に固さが目立ちます…((

ここは補強パーツを入れることでかなり動きが変わります。補強パーツの組み合わせで剛性の調整ができ、またその変化をリニアに感じることができます。オーナー好みの組み合わせ、剛性感を探す楽しさはあります。

もとからしなやかな剛性の高い近代車ではこういう楽しみ方はしにくいでしょう。

【ひたすらアナログ。今はもうないワイヤーアクセルのレスポンス】

近年電子スロットルもかなり進化してきていますよね。レスポンスもさることながら燃費もしっかりよくなりましたし、モード切替が主流の昨今ではボタン一つでお好みに変えることができます。

緻密な制御はまさにメーカーの技術力の結晶と言えるでしょう。

じゃあワイヤーアクセルってなんなの、どういう感じなの?というのを未経験の方にかみ砕いて説明すると

「足の指にちょこっと力を入れるだけでも即座に反応する。」

イメージです。つまり非常に細かいアクセルワークが可能となります。逆に言うと一切のミスも許容しませんが。。。
エンジンの微弱な振動も感じ取ることができるレベルです。

電子制御を介さずペダルが直接スロットルとつながっているためこのようなレスポンスが生まれるのですね。どれだけ電子制御が進化してもこのワイヤー式のダイレクトさは電子制御では実現できないものだと私は思っています。

ちなみにワイヤーアクセルが採用されているのも歴代スイスポでは81だけなんですよね。
そこも面白いポイント(31時代のベースグレードにはあるみたいですが)

【ミッション、ギア比&トルクカーブに秘密あり】

市販車としては非常にクロスしたミッションです。少ないパワーを使い切るためかと思いますが快適高速走行などこれっぽっちも考えていません。故に高速道路での巡行は苦手です。完全に走るためのギア比ですね。

ただ面白いのはこの組み合わせ…以外、グラフです




最高回転数までそこそこフラットトルクなんです。この時代にしては。

中間のトルクだけ少し太らせているようですが、これはつまり中間加速に強いということ。

知識のある方ならもうお気づきの方もいらっしゃるでしょう。

「930kg軽量ボディ+クロスミッション+中間強めのフラットトルクNAエンシ゛ン+ワイヤースロットル」=???



…これは気持ちよくないはず無いでしょう。
ワインディングやミニサーキットなどのインフィールドで最高に気持ちいい組み合わせなんですね、これ。

実際そこらへんのワインディングを転がしてみるとわかります。かなり楽しいんです…

ライトウェイトで遊べる車において、タイプR系や一部の車を除くと大抵もっとワイドなギア比。
少ないパワーを使い切るため、競技で使用するにはそこをウン十万かけてクロスさせるところがスタートなのですが…
それが純正で用意されているわけです。
お得ですね。

馬力や車両重量だけで車を判断しがちですがそれはパワーウェイトレシオのお話。私としてはそのような目につきやすいスペックより細部を含めた総合的な部分で「楽しい!気持ちいい!」と感じられるのが一番なんですよね。

ただ、確信犯でこう仕立てているとは言え今の時代だとやりすぎですし、一般の方には全く受けないでしょうね。

一部のマニアにだけ理解してもらえたら構わん!という当時のスズキの精神…いいですね~…

【リアシートはフルフラットになって応用性◎】

81のリアシートは倒してしまえば完全なフルフラットになるため、いろんなことができますね。

自転車を積み込めたり、トランクを開いておもむろに座り込んだり、そのまま寝転んだり、車中泊のために布団を敷いて横になったり…

もちろんチャイルドシートも装着できます。(実際81で子育てしている夫妻にお会いしたこともあります)

走りだけじゃあありません。こういうところはきちんと“実用的”ですから。

【パーツの流用性ありすぎてとりあえず生き残ることができる】

とりあえず現時点で流用が確認できる車種、内容を記載しておきます。

HA36 アルト…(ドアノブ、ルームミラー)

HT51S…(ベース車なのでいろいろ流用可能)

シボレークルーズ…(シートやインパネなどの内装部品、他)

ハスラー…(バンプラバーがポン付け可能。てかスズキ全般か)

Kei…言わずもがないろいろ使える

ワゴンRワイド(サイドマーカー、マフラー、他)

ZC31S、2代目スイフト…(エアクリ系統、エキマニ(上部のみ)、エンジン部品 他)

私の知るだけでもこれだけあります。流用のスズキとはよく言ったものですが、何とかなる気しかしません。
廃盤で困ってるのはブレーキのマスターバックですね。あれどうにかできないんですかね。。。流用とかなんか。。。

【過信だけは絶対にしないでほしい】

ここで一つ忠告しておくと、行くところまでいけば乗り手を選ぶ系統の車だということですね。私の周りでは半年もしないうちに4台廃車になっています。理由は様々ですが大抵コントロール不能になって刺さるパターンが多いです。

ブレーキングミス、荷重移動ミスに対しての許容幅がとても狭いんですよね。全高が高めで荷重変化が大きく、ショートホイールベースなのでスピンモードに入るのも早めですから。加えて電子制御もありません。そうなると頼れるのは純粋に自分の腕と運のみです。

ただそこをきっちりと理解して踏み抜ける、危険回避ができる、体のセンサーがしっかりしている方にはこの上なく楽しい車だと思います。
あと横転には気をつけて。
「ホイール逝ったなぁ」
は伝説ですよね↑

車もともとの性格がピーキーめなので仕方ないかもしれませんが、冗談でも脅しでもなく真面目に注意してくださいね。


【まとめ】


コレは私の81スイフト。最終仕様です(現在部品取り)

2年ちょいほど乗っていて感じたのですが、81は初心者から上級者まであらゆる方に楽しんでいただける車だと思います。

初心者に関してはそのシンプルさ故に運転の楽しさやドラテクを磨くことができますし、上級者は原点回帰として、または自分の腕試しや新たなチャレンジとして十分に楽しむことができるでしょう。
他の安全な車や出来のいい現代車の方を通常はお勧めしますが、一部の…飛んでみてーわな方、バカになってみたい、アホやりたい方には81をおすすめしますよ。。。後悔はしないでしょう。

81を降りた人がそのうちまた81に乗りたくなるのは……つまりはそういうことです。

以上、久しぶりの更新でした。